初心者でもできる

日本国内の証券取引所一覧とその歴史

日本国内の証券取引所一覧とその歴史
1998年、ニューヨーク証券取引所の上場日にオープニングベルを鳴らした宮内義彦。

外為法の報告制度について

説明:この場合は、居住者である本邦法人が非居住者である米国子会社への支払を、日本にある銀行等又は資金移動業者の為替を利用せずに、海外にある本邦法人の預金口座からの振替払い(外国における非居住者との間の支払)で処理しましたので、「銀行等又は資金移動業者を経由しない支払等」に該当します。
本例の場合には、本邦法人は、米国子会社に対する貸付資金の支払のほかに、もう一つ、別の非居住者である外国にある銀行から支払の受領(預金の引き出し)も行っています。
しかしながら、「非居住者である銀行から預金の引き出し(すなわち、非居住者からの支払の受領となる)」については、「銀行等又は資金移動業者を経由しない支払等の報告」が不要になっています。

2−1−3 個別の業務等に関する報告

  • 外国法人に10%以上(議決権の割合)の出資を行っている者や外国法人等から10%以上(議決権の割合)の出資を受け入れている会社
  • 海外に預金を持っている者
  • 海外で証券を発行した会社
  • 特定の業務を営む会社(航空会社、船会社、損害保険会社)

「個別の業務等に関する報告」の主なもの
報告の種類 報告者
外国法人の内部留保等に関する報告 外国法人に対し10億円以上の出資を行っており、その出資比率が10%以上(議決権の割合)となる居住者
本邦にある会社等の内部留保等に関する報告 外国投資家から10%以上(議決権の割合)の出資を受けている、資本金が10億円以上の日本の会社及び特定目的会社
証券の償還等の状況に関する報告 証券の発行・募集の報告を行っている居住者・非居住者で、毎年12月末における当該証券の発行残高が10億円相当額以上、かつ、前年の12月末以降に買入償却等の実施により発行残高が減少している場合
海外預金の残高に関する報告 非居住者に対し月末残高で1億円相当額を超える預金を保有している居住者
航空会社・船会社の事業収支に関する報告 本邦にある航空会社・船会社、本邦にある外国の航空会社・船会社の支店及び代理店
貨物の輸出入等に係る保険に関する報告 本邦にある損害保険会社

2−2 報告者

「取引に関する報告」、「支払等に関する報告」および「個別の業務等に関する報告」の報告者
報告の種類 報告の内容 報告者
取引に関する報告 資本取引 証券の発行・募集:居住者または非居住者
不動産等の取得:非居住者
証券の取得・譲渡:居住者
暗号資産の売買又は交換に係る媒介等:居住者
対外直接投資 居住者
対内直接投資等 非居住者外国投資家(居住者による代理報告が必要)、居住者外国投資家
技術導入契約の締結等 居住者
支払等に関する報告 支払・支払の受領(支払等) 居住者
個別の業務等の報告 外国法人の内部留保等 居住者
本邦にある会社等の内部留保等 居住者
証券の償還等の状況 居住者、非居住者
海外預金の残高 居住者
航空会社・船会社の事業収支 居住者
貨物の輸出入等に係る保険 居住者

2−3 代理人による報告書の提出

(報告書の郵送先)
〒103-8660 日本郵便株式会社日本橋郵便局私書箱30号
日本銀行国際局国際収支課 外為法手続グループ
または 国際収支統計グループ

オリックスの歴史

1964年4月、日本でのリース産業の将来性に着目した日綿実業(現 双日)と三和銀行(現 三菱UFJ銀行)は、日商、岩井産業(両社は合併して現 双日)の2商社と、東洋信託銀行(現 三菱UFJ信託銀行)、日本勧業銀行(現 みずほ銀行)、神戸銀行(現 三井住友銀行)、日本興業銀行(現 みずほ銀行)の4銀行の参加を得て、3商社、5銀行により、オリエント・リース(株)(現 日本国内の証券取引所一覧とその歴史 オリックス(株))を設立しました。

左から、乾恒雄(故 名誉会長)、宮内義彦(現 シニア・チェアマン)、リース事業のノウハウ取得に協力してくれたU.S.リーシング社のショーンフェルド氏。 1970年、大証上場日の新聞全面広告

1970年代

石油ショックという激動の時代を乗り越え、多角化・国際化を推進

また、専門リース会社の設立も推進し、1972年には店舗のインテリアを扱うオリエント・リース・インテリア(株)(現在はオリックス(株)に業務統合)、 1973年には 車を扱うオリエント・オート・リース(株)(現 オリックス自動車(株))、そして1976年には日本最初の電子計測器のレンタルを扱うオリエント測器レンタル(現 オリックス・レンテック(株))を設立。さらに個人分野への進出の先兵として、1979年には信販会社のファミリー信販(株)(現 オリックス・クレジット(株)、現在はカードローンに特化)を設立しました。

1972年、シンガポール現地法人の地元銀行2行との合併調印式にて。

1972年、シンガポール現地法人の地元銀行2行との合併調印式にて。

1980年代

本格的なグループ経営を始め、多角的な金融サービス業へテンポを加速

1980年、宮内義彦の社長就任披露パーティーにて。

1980年、宮内義彦の社長就任披露パーティーにて。当時、宮内は45歳。

また、1980年には住宅ローン業務および汎用機器課(現 OQL営業部)の設立によりクイックリースに進出しました。
1983年にはベンチャーキャピタルを行うオリエント・キャピタル(株)(現 オリックス・キャピタル(株))、1985年にバジェット・レンタカー(株)(現 オリックス自動車(株))を設立。1986年に後の不動産事業の礎となる独身寮賃貸事業にも進出し、事業領域を拡大しました。
この頃から新しい経営戦略としてM&Aも積極的に取り入れ、1986年には茜証券(株)(1995年オリックス証券に社名変更、2010年マネックス証券(株)と合併)や不動産の賃貸・運営会社である大阪市岡(現 オリックス・インテリア)に資本参加するなど、さらに多角化を推進しました。

1988年、阪急ブレーブス買収記者会見

1988年、阪急ブレーブス買収記者会見

1990年代

ユニークな商品・サービスで新規事業分野を拡大

不動産関連ビジネスにおいては、1999年にオリックス・リアルエステート(株)(現 オリックス不動産(株))を設立し、1993年に開始したマンション分譲事業や、オフィスビル開発事業などを集約して不動産に関する専門性を追求しています。
また、1998年にはオリックス環境(株)を設立し、環境ビジネスも展開し始めました。
そして、1998年にはニューヨーク証券取引所に株式を上場、あえて厳しい規制があるSEC(米国証券取引委員会)のもとに身を置くことで、コーポレート・ガバナンスの強化にも努めてきました。

1998年、ニューヨーク証券取引所の上場日にオープニングベルを鳴らした宮内義彦。

1998年、ニューヨーク証券取引所の上場日にオープニングベルを鳴らした宮内義彦。

2000年代

最高益更新後、リーマン・ショックを乗り越え、新たなステージを迎える

特に、投資銀行業務の飛躍的な伸びが業績を牽引しました。サービシングノウハウを蓄積したオリックス債権回収(株)が受託残高を伸ばし、不動産のノンリコースローンも証券化の流れに乗り伸張。また、大型の企業再生に参画し、2000年に(株)あおぞら銀行へ出資、2005年には(株)大京に資本参加しました。そして、2003年にオリックスM&Aソリューションズ(株)(2016年8月譲渡)を設立、2006年には米国の投資銀行Houlihan Lokey 日本国内の証券取引所一覧とその歴史 Howard & Zukinを買収しました。
一方、2002年には環境エネルギー部を発足させるとともにオリックス資源循環(株)を設立するなど、低炭素社会に向け本格的にサービスを提供する体制を整えました。

THE TOKYO TOWERS

オリックス不動産が開発した「THE TOKYO TOWERS」

LNG燃料転換ESCO事業により製薬会社工場内に導入したLNGサテライトタンク 中国本社(大連市)設立発表会見

2010年代

「金融+サービス」を加速させ、さらなる事業の多角化を推進

枕崎空港跡地に建設したメガソーラー

枕崎空港跡地に建設したメガソーラー

不動産の運営事業では、「江の島水族館(現 新江ノ島水族館)」のPFI ※1 事業に参加して蓄積したノウハウを生かし、2012年に内陸型の「京都水族館」「すみだ水族館」を開業。2019年には、新たな旅館・ホテルの運営事業ブランドとして「ORIX HOTELS & RESORTS」を立ち上げ、不動産関連サービス・運営事業を拡大させています。

東京スカイツリータウン®内にオープンした「すみだ水族館」

東京スカイツリータウン®内にオープンした「すみだ水族館」

新規事業としては、2016年にコンセッション ※2 事業を開始。フランスの空港運営会社VINCI Airportsと共同で関西エアポートを設立し、関西国際空港、大阪国際空港、神戸空港の運営に携わっています。

また、金利収益が主だった金融事業においては、手数料収益の拡大を目指し、2013年7月にオランダのロッテルダムに本社を置く、資産運用会社Robeco Groep N.V.(現 ORIX Corporation Europe N.V.)をオランダの大手金融機関Rabobankより買収し、グローバルな資産運用事業に本格参入しました。

  1. 公共施設等に民間の資金やノウハウを活用して、民間主導で運営を行う手法
  2. 公共施設等運営権制度

関西国際空港、大阪国際空港の運営事業における新会社、関西エアポート㈱の設立と実施契約締結の共同記者会見

関西国際空港、大阪国際空港の運営事業における新会社、関西エアポート㈱の設立と実施契約締結の共同記者会見

そもそも米国株とは?

一口に米国株と言っても千差万別。 日本国内の証券取引所一覧とその歴史
上場している取引所別に見ても、それぞれ特徴がある。
NYSEは時価総額で世界最大の取引所だが、最も上場審査が厳しいことで知られ、アメリカおよび世界を代表する優良企業が上場していると言われる。例えば、コカコーラ(KO)、ナイキ(NKE)、ウォルト・ディズニー(DIS)など日本人にも馴染み深い企業が上場しているのだ。
対して、成長力に富んだ新興企業が多く集まっているのがナスダック。特に、日本でも知名度の高いアルファベット(GOOGL、GOOG)、アップル(AAPL)、アマゾン(AMZN)などそうそうたるネット関連企業が上場銘柄に名を連ねている。
世界的有名・優良企業に投資するならNYSEで、次世代のスター企業を探すならナスダックが適していると言えそうだ。

ここでワンポイント!

銘柄名の横にあるアルファベットが気になった方もいたのでは?
このアルファベットは日本で言えば4ケタの銘柄コードにあたり、『ティッカーシンボル』と呼ばれる。米国株はこの社名に由来する1~5文字のアルファベット『ティッカーシンボル』で管理されているのだ。
例)フェイスブック(ティッカーシンボル:FB)

アメリカの株価指数と言えば

またここでアメリカの代表的な株価指数にも触れたい。
最も有名な株価指数は、「ダウ工業株30種平均」である。『ダウ平均』や『ニューヨークダウ』と略され、ニュースなどで耳にする事も多いこの株価指数は、ダウ・ジョーンズ社が算出するNYSEまたはナスダックに上場している30の代表銘柄の平均株価指数である。
その他、アメリカの取引所(NYSE、ナスダック等)に上場している銘柄から代表的な500銘柄の株価を基に算出されるS&P500も米国株の動向を表す株価指数として広く認知されているので、覚えておいてほしい。

米国株を取引してみる

では、実際に発注するにはどうすれば良いのか?
それには2つ方法がある。
まず1つ目は、直接アメリカにある証券会社に口座を開設する方法だ。もちろん、この方法だと相当程度の英語力が必要になる。また税制等の違いから日本人(日本居住者)の口座開設を認めていない証券会社もあるので、注意が必要だ。
そして2つ目は、日本国内の証券会社で米国株取引の口座を開設する方法である。この方法であれば、皆様にも馴染みがある証券会社で米国株取引が可能だ。最近では、特定口座にも対応するなど、特に米国株に力を入れているネット証券も登場している。

SPECIAL REPORT 日本国内の証券取引所一覧とその歴史 スペシャルレポート

水田 孝信

● 経歴
・2002年東京大学大学院理学系研究科修士課程修了。
・2004年同研究科博士課程を中退しスパークス・アセット・マネジメント株式会社入社。
クオンツアナリストなどを経て2010年よりファンドマネージャー。
・2017年度より上席研究員兼務。
・2014年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。博士(工学)。
同年より東京大学公共政策大学院非常勤講師。
・2016年度より人工知能学会金融情報学研究会幹事。2019年度より主幹事。

● 受賞歴
・2010年度および2012年度、人工知能学会研究会優秀賞。
・国際学術会議 IEEE Conference Computational
Intelligence for Financial Engineering and Economics 2014
にて3rd place award受賞。
・2020年度、人工知能学会全国大会優秀賞。

議論が始まったさらなる株式の決済期間短縮

日常の買い物の支払いと株式や債券購入時の支払い

決済期間とは?

決済期間短縮のメリット

インドのT+1化

米国のT+1化:ゲームストップ株騒動

米国では2024年を目標にT+1化が議論されています*4。議論が始まったのは、2020年のゲームストップ株騒動が発端でした*5。この騒動は、ヘッジファンドが空売りをしていたと言われていたゲームストップ株を、個人投資家がみんなで買い上げて上昇させようと、インターネット掲示板で呼びかけ、この株が急騰したという騒動です。その結果、ゲームストップ株は売買量が急増、株価は高騰したのち乱高下しました。
T+2の場合、株式を購入した後、2営業日後にしか購入代金を支払いません。何かしらの理由でこの購入代金が払えなくなった場合、売り手は売却代金を得られなくなり、売り手はその売却代金をあてにして既に他の株式を買っていた場合、さらにそれを売った人が困り、と連鎖する恐れがあります。購入代金が払えなくなる理由の多くは購入した株式そのものがその後急落し、買った価格より大幅に安く売ってしまった場合です。そのため、株価の乱高下が激しくなると購入代金が払えなくなる人がでてくる恐れが大きくなります。万が一払えない人があらわれた場合は、いったんは清算機関で肩代わりし後で回収するということを行います。正確には、まず証券会社が顧客の取引を集約し、証券会社同士がその集約した取引を決済します。なので、クリアリング機関が肩代わりをするのは証券会社が破綻した場合に限られます。最近の証券会社の破綻事例は非常に限られており、めったに起きません*6。
清算機関は、取引所で約定した取引を集約し、現金の口座がある銀行や株式を保管している振替機構に決済を指示します。日本での清算は日本証券クリアリング機構*7が、米国ではDTCC(The Depository Trust & Clearing Corporation)の子会社であるNSCC(National Securities Clearing Corporation)*8が担っています。
清算機関は万が一の時の肩代わりの代金を、証券会社から証拠金として預かっています。そして、その証拠金は各銘柄の株価変動の大きさによって数式を用いて機械的に決まります*9。誤解を恐れずに簡単にその式を示すと、 日本国内の証券取引所一覧とその歴史
証拠金額=未決済取引の金額×あり得そうなマイナスリターン
となります。そのため、ある銘柄が乱高下を始めると”あり得そうなマイナスリターン”が大きくなり、証拠金の額は自動的に上昇するのです。また、T+2であるため、2日間分の決済が終わってない取引が”未決済取引の金額”となり、リスクにさらされているため、それらが被るかもしれない損失から証拠金が計算されます。もしT+1であれば当然、”未決済取引の金額”が1日分の取引だけになり証拠金の額はかなり減るでしょう。T+0であれば、”未決済取引の金額”は当日約定のものだけとなり、さらに日をまたいだ騰落を考慮しなくてよくなるので”あり得そうなマイナスリターン”も減ります。リアルタイム決済ならほとんど必要なくなるかもしれません。
さて話を、乱高下を始めたゲームストップ株に戻しましょう。この時、清算機関であるNSCCは機械的に決めている証拠金額が上昇したことを、個人投資家に人気のあるネット証券会社に伝え、追加の証拠金を預けるよう要求しました。しかし、その証券会社は資金不足からそれが払えず、個人投資家からの買い注文を止める代わりに追加の証拠金の額を減らしてもらいました*5。買い注文を入れようとしていた個人投資家を中心に非難が殺到し、この問題は議会でも取り上げられるほどになりました。そこで、このようなことがまた起きないようにするため、T+1化が提起されたのです*10。証拠金は未決済である2日間分の取引が決済できないときに備えたものです。T+1になればそれが1日分の取引となり、証拠金はかなり減ります。
このように決済期間の短縮化という地味で専門的な事柄が、議会など社会に広く関心がもたれることは、歴史を振り返ってみてもとても珍しい現象だと思います。

米国株式の決済期間の変遷:事務処理増加により長くなった決済期間

米国株式の決済期間の変遷をKenneth Levineが1996年に金融の歴史雑誌に書いた記事*11とそれを紹介したブログ記事*12を参考に見ていきましょう。図1は米国株式の決済期間の変遷を示しています。米国で株式の取引が本格的に始まったのは18世紀末ごろと言われています。決済期間は当時T+1だったと言われています。そして、19世紀を通じて、ずっとT+1だったのです。
そして、1929年の世界恐慌のとき、取引量が急増したため、決済の事務処理が追い付かなくなり、夜を徹して事務処理を行う事態が発生しました。そのため、4年後の1933年に、T+2にします。決済期間を1日伸ばし、倍にしたのです。これにより、決済の事務処理にかけられる時間が増え、多くの取引を処理することができるようになりました。当時はコンピューターが発明される前で、すべての取引を手作業で確認・処理していたのです。取引件数が増えると事務処理にかかる時間もそれに応じて増えました。
その後、米国の発展とともに取引量は増え、それに応じて決済期間は長くなっていきます。図2は図1の20世紀以降を拡大したものです。1946年にT+3、1952年にT+4、1968年には、T+5に伸ばされました。実はT+5になった1968年ごろは”go 日本国内の証券取引所一覧とその歴史 go years”とよばれた上昇相場でした*13。上昇相場で売買が増えたため、決済期間が延びたのですが、この上昇相場は宇宙関連株への人気が作った上昇相場でした。
当時は冷戦真っただ中で、米国とソビエト連邦が核兵器を直接相手国に打ち込めるように長距離ミサイルの開発競争を行っていました。両国は、軍事技術に詳しくない一般国民にもミサイル技術で敵に負けていないことを示すため、分かりやすい形で技術力を見せつけるようになります。そして、技術的にはミサイルと似ているロケットの開発競争となり、ついには宇宙まで行き、どちらが先に人類を月に到達させるかという競争に発展したのでした。米国においても宇宙関連企業に多くの投資が行われ、宇宙関連株が人気となり、上昇相場を作りました。
実はこの時の宇宙関連技術の中にコンピューターもありました。ミサイルやロケットはまさにコンピューターが制御していたのです。コンピューターがさまざまな分野に普及するための技術もこの時に発展しました。そして、このころから決済事務においてもコンピューターが導入され始めます。コンピューターの導入により、決済事務の手作業の負担は大きく削減さて、取引量が増えても決済期間を延ばす必要がなくなりました。コンピューター技術が発展したことによるこの上昇相場が、決済期間を延ばす必要があった最後の上昇相場となったのです。

コンピューターの発明により決済期間を短くできるようになった

コンピューターの普及により、取引量が増えても決済事務が間に合わなくなることはなくなりました。しかし、積極的に決済期間を短くするという議論は出てきませんでした。先ほど述べたように、決済期間が長いと決済リスクが大きくなるのですが、金融市場が大きく荒れなければこのリスクは感じられないのです。しかし、T+5になって19年後の1987年に暴落がおきます。ブラック・マンデーとよばれているこの暴落は、コンピューターが普及したことによる登場した、プログラム取引が暴落を増幅させていました。このプログラム取引は、ボラティリティが大きい資産は少なめに持つという、”ポートフォリオ・インシュランス”とよばれる手法を用いていました*14。暴落によってボラティリティが上昇したと判断した株式を売るよう自動的に取引したため、ますます下落し、他のプログラム取引も売り、という連鎖が発生してしまいました。
さて、この暴落によって決済リスクが認識され、1995年にT+3に短縮されます。そして、ブラック・マンデーの21年後の2008年、リーマンショックがおきます。ここで決済リスクが再び認識され、さらなる決済期間の短縮が議論されました。そして、2017年にT+2になったのです。
そして、前述のように2020年のゲームストップ株騒動により決済期間の短縮の議論がでて、2024年を目標にT+1にする議論が進んでいます。金融市場が荒れることにより決済リスクが認識され、決済期間が短くなっていったのです。

日本株式の決済期間の変遷

それでは、日本株式の決済期間の変遷はどのようになっているでしょうか。書籍”日本経済の心臓 証券市場誕生!”*15を参考に見ていきましょう。日本は第2次世界大戦で敗戦した後しばらく公式の株式市場は閉鎖されていましたが1949年に再開しました。この時T+3でスタートしました*16。そして、2019年にT+2になるまで70年間にわたってずっとT+3だったのです。実はそれ以前の明治から第2次世界大戦中までは、非常に決済期間が長く、3か月以内に決済しましょうと言った感じのものでした。日本は江戸時代に大坂でコメの先渡取引が活発でありそのルールを取り入れていたのです。
第2次世界大戦直後の混乱で閉鎖されていた取引所をどのようなルールで再開させるか、日本政府とGHQが議論したわけですが、18世紀終わりごろからT+1に慣れ親しんできた米国人にとって、日本のコメの先渡取引の決済期間は異常なまでに長く感じたことでしょう。このような長い決算期間は、株式を保有しているという感覚ではなく投機の対象であると感じさせてしまうと考えたようです。この考え方には根拠はないと思うのですが、ともかくGHQの人たちは株式を投機ではなく保有している感を出すためには、決済期間は米国並みにしなければならないと考えたようです。なので、たまたま1949年に米国が採用していたT+3がそのまま日本に持ち込まれたと考えられます。米国がT+3だったのは1946年から1951年の6年間しかないのですが、たまたま、その時に日本の取引所が再開した、というのがT+3の理由のようです。そして、それが70年間も続いたわけです。
逆になぜ70年間も変更がなかったのか疑問に思われるかもしれません。先に述べたように米国ではその後決済期間を長くしています。これは決済事務が多すぎて間に合わなくなったからでしたが、日本の場合は幸いにもそこまでの取引量にはならなかったということでしょう。では、2019年になぜ短縮したかと言えば、21世紀になり、さまざまな国の株式を持つことが普通となったため、世界的に決済期間をあわせる流れがあったためです。つまり米国が2017年にT+2にしたため、日本も2019年にT+2にしたのです。ヨーロッパ各国では既に多くの国でT+2になっていたため、先進国の中で日本だけT+3というのは、さまざまな国の株式を保有する投資家には不便でした。日本はたまたまT+3で始まり、投資先の国際化が普及し始めた時に米国がたまたま(1995年に)T+3に戻ってきて、一致していたためそのままで良かったのです。これからは、米国はじめ様々な国の決済期間にあわせていく必要がありますので、米国が目標としている2024年にT+1になれば、日本でもT+1化の議論がでてくるでしょう。

日本の国債や銀行振り込みの決済期間の変遷

戦後再開時にGHQの意見が入った株式と異なり、国債や銀行振り込みなどは緩やかに変化していったようです。図3に国債、銀行振り込み、株式の決済期間の推移を示しました。日本銀行が公表している”わが国決済システム等に関する主な動き”*17によると、1986年に”国債決済の決済期間短縮:「十日」決済に変更(月2回決済→月3回決済)”とあります。つまり、1986年までは国債は月に2回しか決済を行う日がなかったのです。1986年にそれが3回になりました。株式は1949年からT+3だったので、それと比べてとても長い決済期間だったのです。さらに、株式のT+3は約定から3営業日後に決済を行うというもので、どの営業日も決済日になりえます。これをローリング決済*18と言いますが、国債はそれすら導入されていなかったので、約定した日によって、決済期間が長くなったり短くなったりしました。
しかし国債は決済期間の短縮が素早く行われる傾向にあり、次の年の1987年には、”「五・十日」決済に変更(月3回決済→月6回決済)”と、月6回の決済となり、1996年には、”ローリング決済に変更(「五・十日」決済→T+7 決済)”と、株式と同じようにローリング決済*18が導入されます。そし、1997年に”T+7 決済→T+3 決済”と株式に追いつき、2012年に”T+3 決済→T+2 決済”と株式よりも短い決済期間となりました。先に述べたように日本の株式は2019年にT+2に短縮されましたが、それより前の2018年に国債はT+1になっています*19。つまり、1997年以前は国債の方が決済期間は長かったのですが、株式とは違い短縮を素早く何度も行った結果、1997年に同じ長さとなり、2012年に追い抜き、今日に至っています。
一方、銀行振込にかかる期間を見てみましょう。1973年に全国銀行データ通信システム(日本国内の証券取引所一覧とその歴史 全銀システム)が稼働開始します*20。それまで全国に27か所設置された為替交換室において手作業で振込事務を行っていたのが、このシステム化により銀行振り込みは全国一律2営業日後に入金されるようになりました。つまり、全国一律T+2で行われるようになったのです。銀行振込も即時入金(リアルタイム決済)が当たり前となった現代*21から考えると、T+2というのは長く感じがしますが、振込作業がコンピューターで行われるようになったことは、当時としては画期的な出来事だったでしょう。翌年の1974年にはT+1と短縮化され、1993年にはT+0となります*17。そして、2018年に多くの銀行で24時間365日即時入金(リアルタイム決済)が始まりました*21*22。
再び図3を見て分かりますように、第2次世界大戦後は国債に比べて株式の決済期間は短く、銀行振込と比べても遜色なかったのですが、国債、銀行振込ともに短縮化が進み、今では株式の決済期間が一番長くなってしまっています。 日本国内の証券取引所一覧とその歴史

中国A株はT+0

中国は外国との資本移動を厳しく規制しており、近年緩和してきているとはいえその速さはとてもゆっくりです。一部の中国企業は香港証券取引所に上場していたり、ADR(預託証券)という形で米国の取引所に上場していたりするため、外国人投資家はそれを買うのが普通でした。外国人が中国A株(上海証券取引所など中国本土で上場している株式)を保有するには特別な許可が必要であったりしましたが、2014年に香港証券取引所経由で比較的多くの外国人が中国A株を保有できるようになりました*23。
このように、長い間外国人に直接買われることがなかった中国A株は、国内の投資家向けに売買の制度が作られています。その典型として、決済期間がT+0であることがあげられます*24。これまで述べてきたように決済期間は短い方がメリットは多いように思われます。コンピューターが決済事務を行う現在、決済事務にかかる時間という制約はほとんどなく、T+0に移行するのに何の障害もないように思われます。しかし、理想的と思われるT+0を実現している中国A株を外国人という立場から見ると、いろいろと不便なところも見えてきます。
まず、少し話はそれますが、中国A株は厳密にはT+0ではありません。確かに株式はT+0で渡されますが、売買の資金の実際の移動はT+1なのです*24。この2つが同時に行われないのは不思議に思われるかもしれません。これらが同時に行われることを”DVP(Delivery Versus Payment)決済”日本国内の証券取引所一覧とその歴史 *25*26とよびますが、例えば日本の国債がDVP決済になったのは1994年と、実はそこまで昔の話ではないのです。先進国以外では今でも、中国A株のようにDVP決済ではないことは珍しくありません。DVP決済でないと、取引の相手方が破綻した際に取引が不成立になるだけなく、最悪、株式は渡したのに代金を受け取れないなどの事態も発生しえます。ただし、これはあくまで可能性の話であって、DVP決済でなくても各種工夫によりこれを防ぐ手当はなされています*24。
さて、話を戻しましょう。中国A株を外国人が売買するとき、どのような不便なことがおきるのでしょうか。先に具体的な事例として日本の個人投資家が中国A株を買う場合*27を見てみましょう。まず、当日買った株式をその日に売れません。また、中国本土ではT+0のハズですが、日本国内で株式の保有を確認するまで時間がかかり、日本から見ているとT+2に見えるようです。
当日買った株式をその日に売れない理由の詳細は分かりませんが、私なりに想像してみます。現地ではT+0のため、受渡(決済)が終わっているか、その日に受渡が確実に行われる株式しか売ることができません。T+0では売ったその日のうちに株式を相手に渡さないといけないから当然です。しかし、日本国内ではT+2でしか受渡を確認できませんから、当日買った株式は、約定は確実にしても受渡まで確実に行われるという確証を得る方法が日本ではなく、その株式は売ることができない、ということだと思います。もし中国A株がT+2やT+3でDVP決済であればこのようなことは発生せず、買った株式をその日に売ることができると考えられます。
このため実際に、中国A株に関して、外国人投資家にはT+2のDVP決済を認めて欲しいという要望*28や、中国の債券はT+3も取り扱って欲しい*29といった要望もでています。このように外国人投資家からすると、T+0はかえって不便でT+2のほうが良い場合もあるのです。これらの話から、決済期間は短ければ良いわけではないことが分かると思います。

決済期間が短すぎると困る海外機関投資家

実は海外からの投資だけでなく、機関投資家の場合も決済事務が多くなり、決済期間が短くなると困ることがおきます。ここでは細かい説明は省きますが、簡単のため日本株式に投資する場合の、日本に住む個人投資家と、海外にある機関投資家の場合の決済事務を比べてみましょう。日本の個人投資家が、決済事務が簡潔な例で、海外機関投資家が、決済事務が多くなる例です。
図4は、証券保管振替機構のホームページ*30を参考に描いたものです。日本の個人投資家の場合は、投資家と取引所の間に証券会社が入ってくれて取り次いでくれるという、とても簡素な構図となっていて、決済事務もシンプルです。
ところが、海外機関投資家の方を見ると、アセットオーナーから運用を任された海外の運用会社が同じ地域の証券会社に取り次いでもらい、その証券会社は日本の証券会社にさらに取り次ぎ、取引所に注文が出されます。注文が成立すると、日本の証券会社、元の証券会社、運用会社と順に連絡され、そして、日本株を実際に保管しているサブカストディアンに、グローバルカストディアンを通じて約定の連絡を行います。そして、各種決済事務が行われるのです。
国境をまたいでいくつもの情報のやり取り、照合が行われるため、時間がかかるだけでなく、どうしても時差の影響を受けてしまいます。これだけを見てもT+0の難しさが分かると思います。さらに、為替の取引も同時に行わなければならない場合も多いです。特にアジアの国々の中には資本規制が厳しく、現地の通貨を持ち続けることができない国もあります。そういう国では実務上、株式を約定して購入金額が確定してから、現地通貨への両替を行わざるを得ない場合もあります。そうすると、株式が約定して約定価格を知ってから株式の決済が行われるまでの間、つまり株式の決済期間の間に、為替取引の注文を出して、為替の約定・決済まで終わってないといけません。決済期間が短くなると為替取引の決済事務のスケジュールも厳しくなるのです。
このように、決済事務の量が多い海外の機関投資家にとっては決済期間が短くなると決済事務が間に合わなくなり、場合によっては取引そのものができなくなってしまうことすらあるのです。

経済産業省・東京証券取引所が共同で選定する令和3年度「なでしこ銘柄」に選定

当社は多様性推進戦略の一つとして経営陣のコミットの下で女性活躍推進に取り組んでおり、取締役会で多様性推進を含む人財戦略を定期的な議題にするなど、推進体制を強化しています。また、女性活躍を巡る課題解決を「社会との共有価値(CSV※1)」と捉え、「なりキリンママ・パパ※2」のノウハウや女性従業員の声から生まれた制度や施策など、業種を超えた有益な取り組みについて積極的な情報発信を行っています。これらの「ガバナンス」「推進体制」「情報開示」の点が特に評価され、今回の選定に至りました。
※1 Creating Shared Valueの略。お客様や社会と共有できる価値の創造
※2 キリングループの5名の女性従業員がママになりきり、時間制約や子どもの発熱などの突発事態への対応を要する働き方を徹底した上で、労働生産性を向上させる実証実験を実施。女性が実際にライフイベントを迎えても、働き続ける自信を持てることを示しただけでなく、高い成果を出しながら働き続けるために必要な、周囲のマネジメント向上策や、組織カルチャー変革のきっかけにもつながった。2019年2月からはキリンホールディングス株式会社、キリンビール株式会社、キリンビバレッジ株式会社、メルシャン株式会社の全部門を主な対象として実施している

「なでしこ銘柄」とは※3

女性活躍推進に優れた上場企業を、「中長期の企業価値向上」を重視する投資家にとって魅力ある銘柄として紹介することを通じて、企業への投資を促進し、各社の取り組みを加速化していくことを狙いとしており、平成24年度より、経済産業省・東京証券取引所の共同で実施しています。一定のスクリーニング基準を通過した企業について、女性活躍推進に関するスコアリング基準に従って評価を行い、業種ごとに上位企業を「なでしこ銘柄」として選定しています。
※3 経済産業省ホームページより

キリングループの「女性活躍推進長期計画2030」および「2022年中期計画」について

「女性活躍推進長期計画2030」について

■目指す姿
より多くの女性が仕事と生活それぞれが充実する働き方を実現し、自己成長と会社への貢献を両立しながらキャリア形成できる組織風土の実現。

■目標
①日本国内の女性経営職比率を30%にする※。
②キリンホールディングス株式会社の女性役員比率を30%にする。
※ キリンホールディングス株式会社を集計対象とする

■育成方針
女性は「早回しのキャリア形成※」で育成する。
※ 適性を踏まえた上で早めにチャレンジングな業務を経験し、仕事の面白みを実感するとともに、出産などのライフイベントを経ても主体的にキャリア形成できるよう、早回しで仕事体験を積み重ねるという考え方

■重点課題
①多様な人財確保と成長を実感できる環境の整備
②ライフとワーク両立におけるギャップ解消
③経営職のワークスタイル変革
④意思決定層への女性登用

「2022年中期計画」について

■方針
本中期計画では、特にワーキングマザーの活躍を阻む障壁を取り除き、最大限に能力発揮できる環境を整えることを目指す。

■取り組み
・キャリア形成や自己成長を目的とした育成プログラムを継続するとともに、その時間帯や方法を見直し、多様な従業員が気兼ねなくチャレンジできる機会を増やす。
・仕事と育児等を両立する従業員が、キャリアをより前向きに形成できる遠隔地勤務の可能性・転勤のあり方を検討する。
・育休復帰後の従業員への成長機会の提供および成長実感向上のため、「短時間勤務・休職期間を含む年度の評価制度運用」を開始する。
・男性の育児休業100%取得、および全世代の男性の家事・育児・介護等への参画を推進する。
・アンコンシャス・バイアスに起因する問題の解消につながる行動変容を促す。 など

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