コラム2009年01月26日 【SCOPE】 試行排出量取引スキーム導入で排出枠取引の会計処理を検討(2009年1月26日号・№292)
ASBJ、実務対応報告第15号の改正案を春頃に公表
試行排出量取引スキーム導入で排出枠取引の会計処理を検討
企業会計基準委員会(ASBJ)は1月16日、新たに導入された試行排出量取引スキームにおける排出枠取引の会計処理の検討を開始した。同委員会では、平成16年11月に、実務対応報告第15号「排出量取引の会計処理に関する当面の取扱い」を公表しているが、同実務対応報告を一部改正することになる。平成21年3月~4月頃を目途に公開草案を公表する予定だ。
関係省庁から会計処理方法の検討が要請 平成20年10月21日、地球温暖化対策推進本部により「排出量取引の国内統合市場の試行的実施」を開始することが決定され、試行的実施の仕組みの1つとして「試行排出量取引スキーム」が導入された(図参照)。「試行排出量取引スキーム」では、事前に交付される排出総量目標に相当する排出枠または事後的に交付される超過達成分に相当する排出枠について、売買することができる。排出量取引の国内統合市場の試行的実施に関しては、501社が参加するとされている。
企業会計基準委員会では、すでに実務対応報告第15号「排出量取引の会計処理に関する当面の取扱い」を公表しているが、同実務対応報告は京都メカニズムにおける排出クレジットを対象としており、排出枠取引については定められていない。このため、排出枠取引の会計処理方法について早急に検討すべきとの要望が関係省庁から寄せられていたものである。
特有の会計処理を追加 企業会計基準委員会では、試行排出量取引スキームは、排出量取引を本格導入するにあたっての必要な条件や課題などを明らかにするための試行的実施であるため、実務対応報告第15号は、従来と同様、京都クレジットの取扱いを中心とし、試行的排出量取引スキームに特有の排出枠の交付に関わる会計処理を追加する方向で検討を行うとしている。
具体的な論点としては、(1)他者から購入した排出枠、(2)事後清算による排出枠の交付(目標を超過達成した場合)、(3)事前交付により取得した排出枠が挙げられている。
このうち、(1)および(2)については、実務対応報告第15号の他者から購入した排出クレジットの会計処理と同様とする方向となっている。
事前交付により取得した排出枠の会計処理が問題 問題となるのは、(3)のケースで、事前交付時、売却時および期末時の会計処理が1つの大きな論点となる。
1月16日に開催された排出権取引専門委員会では、会計処理の方法として5つの案が提示されている。5つの案のなかでは、現在のところ、事前交付時にはオフバランスとし、売却時には借受金にて処理する案が有力となっている。なお、期末時に排出量削減が目標に達せず、不足分の排出クレジットを他者から購入したうえで償却する可能性が高い場合には、負債を計上することが考えられるとしている。
ただし、試行排出量取引スキームにおいては排出枠が不足する場合、排出枠の借入れが可能であること、最終的な償却期限までに不足分の償却を行わない場合のペナルティーがないため、償却する意思決定を行うまでは負債の計上は不要と考えられるとしている。
オフバランスは注記で対応 上記の案を採用する理由としては、①過去の排出実績等に基づいて設定された目標を超過達成する見通しが立たない限り、通常は売却しないと考えられるため、資産計上する意義は大きくない(事前交付された排出枠がオフバランスとなっていることに懸念があれば、注記で対応が可能)、②試行排出量取引スキームにおいては、事前交付された枠のうち(1割については他社に売却できるが)9割は償却以前の取引の対象とすることができないため、売却を考慮する必要性が乏しい、③目標を超過達成し、償却後も排出枠が余剰となる場合には、事後清算による交付の場合と同様に資産および収益を計上することになると考えられることなどが挙げられている。
簿価通算は行わず そのほか、購入した排出枠との簿価通算については行わず、購入した排出クレジットがある場合には、まず、その分の売買が行われたものとみなすとしている。
MEMO
実務対応報告第15号「排出量取引の会計処理に関する当面の取扱い」とは? 実務対応報告第15号「排出量取引の会計処理に関する当面の取扱い」では、排出クレジット獲得のための支出等に関する会計処理を明確にしている。①専ら第三者に販売する目的で排出クレジットを取得する場合、②将来の自社使用を見込んで取得する場合の2つに分け、それぞれ、他者から購入する場合と出資を通じて取得する場合の会計処理を示している。
たとえば、①では、他者から購入する場合は、通常の商品等の購入と同様の会計処理を行う。また、②では、他者から購入する場合は、「無形固定資産」または「投資その他の資産」の購入として会計処理することとされている。
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金融商品取引法
有価証券をはじめとする広範な金融商品の取引等について包括的なルールを定めた法律で、証券取引法を全面的に改正するなどにより、2007(平成19)年9月に施行された。 この法律の目的は、金融商品に関する公正な取引、円滑な流通、公正な価格形成等を確保することである。そのために、企業内容等の開示制度、金融商品取引業者等に対する業務規制、金融取引所の開設・運営についての規制などを規定している。 その特徴は、 1.幅広い金融商品の取引業務を投資サービスとして捉え、そのような行為に対して横断的にルールを適用すること 2.投資家の保護と投資市場の自由な発達との均衡を図るため、プロの投資家への法の適用の特例を定めるなど、制度的な工夫がなされていること 3.規制の枠組みを、公正な価格形成などの市場機能に着目して構成していること である。 この法律は、不動産の証券化した商品の発行や取引についてだけでなく、不動産の流動化によって生み出されたすべての金融商品の取引等に対しても適用される。ただし、不動産特定共同事業法の対象となる商品(不動産特定共同化事業契約に基づく権利の証券化商品)については、同法の特例事業(倒産隔離されたSPC方式の事業)の出資持分以外は、保険契約、共済契約等に基づく権利の証券化商品と同様に、金融商品取引法の適用対象から除外されている。 なお、金融商品取引法が定める損失補塡等の禁止及び適合性の原則の規定については、不動産特定共同事業法の対象となる商品についても準用によって適用される。
財産的な価値のある権利を表示する証券で、その権利の移転・行使には原則として証券の受渡・占有が必要とされるものをいう。 表示される権利の種類、権利と証券との結合の程度、権利の移転・行使における証券の役割などは、一様ではない。従って、有価証券を取り扱う場合には、その性格を具体的に把握しておく必要がある。 有価証券は、表示する権利の種類によって、例えば次のように分類されることが多い。 1.債権証券:債権を表示するもの。手形、小切手、社債、倉庫証券など。 2.物権証券:債権とともにその担保物権を表示するもの。例えば、質入証券、抵当証券など。 3.社員権証券:社団の社員としての地位を表示するもの。例えば、株券。 なお、金融商品取引法では証券等を具体的に列挙して「有価証券」を定義しているが、その定義は一般的に理解されている有価証券の範囲とは必ずしも一致していないので注意が必要である。
不動産特定共同事業法
出資等を受けて不動産取引を行ない、その収益を分配する事業の仕組みを定めた法律で、そのような事業を「不動産特定共同事業」という。1994(平成6)年に制定された。 取引スキーム 不動産特定共同事業は、宅地建物取引業の特別な形態で、倒産隔離できない1号事業と、倒産隔離されたSPC方式(特定目的法人を設立する方式)による特例事業とがある。 不動産特定共同事業を営むには、原則として国土交通大臣等の許可が必要で、宅地建物取引業の免許を受けていること、法人であること、一定額以上の資本金を有していることなどの要件を満たさなければならないとされる。ただし、出資総額及び一人当たりの出資額が小さい小規模不動産特定共同事業については、登録によって営業することができる。 また業務に関しては、不動産の適正かつ合理的な利用の確保に努め、投機的取引の抑制を図るよう配慮すること、広告・勧誘等についての一定の規制・制限を遵守すること、契約に当たって一定の説明を書面で行なうことなどが定められている。 この法律の制定により、組合方式等による不動産の証券化を円滑に進めるためのルールが明確となり、投資家の資金を活用した不動産の流動化が促進されることとなった。 なお、特例事業の不動産共同事業契約に基づく権利は金融商品取引法の「みなし証券」として同法が適用されるほか、不動産特定共同事業法の対象となる商品のすべてについて、金融商品取引法に定める損失補塡等の禁止及び適合性の原則の規定が準用によって適用される。
取引スキーム
【関係者】
売買①
売主:個人
買主:当社組成の特定目的会社(ファンドスキーム)
↓
売買②
売主:当社組成の特定目的会社(ファンドスキーム) 取引スキーム
買主:外資系ファンドが組成する合同会社
Mission
某個人クライアントは渋谷区に所在する本物件について売却を希望されていました。
本件敷地の一部は借地権でしたが、これを理由に購入検討が進まない先が多く、
再三に渡る売り出し価格の見直しを図っていたところ、東急リバブルに、
仲介ではなくファンドスキームでの買取のご提案をいただきました。 某個人クライアントは渋谷区に所在する本物件について
売却を希望されていました。
本件敷地の一部は借地権でしたが、
これを理由に購入検討が進まない先が多く、
再三に渡る売り出し価格の見直しを図っていたところ、
東急リバブルに、
仲介ではなくファンドスキームでの
買取のご提案をいただきました。
Solution
約3週間で特定目的会社、
一般社団法人を設立し
ファンドスキームを構築
まずは私たち自身によるデューデリジェンスを実施。その後、第三者機関からのコメント付与のため、
不動産鑑定会社及びER作成会社へデューデリジェンスの発注を行いました。
一部借地という点は、長期の借地契約を新たに締結し直すことでリスク回避を図ったのです。
結果、本件についてはTMKスキームでの取得を計画。
かねてより共同投資案件の打診があった某機関投資家に共同出資を持ちかけると共に、
金融機関3社へもデット借入の打診を行いました。
本来であれば、ノンリコースローンの対象とはならない比較的小規模な借入金額でした。
しかし、アレンジャー、AMおよび優先出資者までもが東急リバブルであったという点を評価され、
レンダー3社より前向きなお返事をいただくことができたのです。
最終的には、金利、コベナンツ等の総合的条件を勘案し、この内の一行と条件合意に至りました。
各ステークホルダーからの、本案件参加への合意が揃った後、
約3週間で特定目的会社、一般社団法人を設立しスキームを構築しました。 まずは私たち自身によるデューデリジェンスを実施。
その後、第三者機関からのコメント付与のため、
不動産鑑定会社及びER作成会社へ
デューデリジェンスの発注を行いました。
一部借地という点は、長期の借地契約を新たに締結し直すことでリスク回避を図ったのです。
結果、本件についてはTMKスキームでの取得を計画。
かねてより共同投資案件の打診があった某機関投資家に共同出資を持ちかけると共に、
金融機関3社へもデット借入の打診を行いました。
本来であれば、ノンリコースローンの対象とはならない比較的小規模な借入金額でした。
しかし、アレンジャー、AMおよび優先出資者までもが東急リバブルであったという点を評価され、
レンダー3社より前向きなお返事を
いただくことができたのです。
最終的には、金利、コベナンツ等の総合的条件を勘案し、
この内の一行と条件合意に至りました。
各ステークホルダーからの、
本案件参加への合意が揃った後、
約3週間で特定目的会社、
一般社団法人を設立しスキームを構築しました。
流動化計画に則り5ヵ年程度の運用計画がスタート。
時をほぼ同じくして、3月末までを期限とする強い不動産購入ニーズが、別の営業担当者に寄せられました。
運用担当者は、当該ニーズと運用中物件とのマッチングを企図。
優先出資者である機関投資家より了解を得た上で本件不動産に関する情報を提供したところ、
購入希望者より強い関心をお寄せいただきました。
ただし、こちらの購入希望者様はGK-TKスキームでの購入を希望しているため、
残された約1ヶ月の期間で本件不動産を信託受益権化し、引渡しを行わなければならない状況でした。
さらに、取得に際し新たに就任したPM会社、BM会社がまだ物件の詳細を把握する前の状況でしたので、
買主側からの質疑には、運用担当者が直接お答えする必要がありました。
運用担当者は社内の買主側担当者と連携し、各ステークホルダー間の調整を、
高いマネジメント力とリーダーシップを発揮しながら進めました。 流動化計画に則り5ヵ年程度の運用計画がスタート。
時をほぼ同じくして、3月末までを期限とする強い不動産購入ニーズが、別の営業担当者に寄せられました。
運用担当者は、当該ニーズと運用中物件との
マッチングを企図。
優先出資者である機関投資家より了解を得た上で本件不動産に関する情報を提供したところ、
購入希望者より強い関心をお寄せいただきました。
ただし、こちらの購入希望者様はGK-TKスキームでの購入を希望しているため、
残された約1ヶ月の期間で本件不動産を信託受益権化し、引渡しを行わなければならない状況でした。 取引スキーム
さらに、取得に際し新たに就任したPM会社、BM会社がまだ物件の詳細を把握する前の状況でしたので、
買主側からの質疑には、運用担当者が
直接お答えする必要がありました。
運用担当者は社内の買主側担当者と連携し、
各ステークホルダー間の調整を、
高いマネジメント力とリーダーシップを発揮しながら
進めました。
短期間でのデューデリジェンスとファンドスキーム構築
高いマネジメント力で各ステークホルダー間を調整し、
リターンの最大化を実現
販売パートナーとの契約(販売店契約,代理店契約)
1 はじめに
ソフトウェアやITサービスについても,通常の工業製品と同様,他社を販売パートナーとして販売活動や営業活動を委託することが行われています。販売パートナーは,単にベンダの製品の販売活動をするだけでなく,当該製品をカスタマイズしたり他のベンダの製品を組み合わせるなどして付加価値のあるソリューションを提供することもあります。販売パートナーがITベンダの製品を自己の名で販売するOEM取引が行われることも少なくありません。
2 販売パートナーとの取引スキーム
ITベンダと販売パートナーとの取引スキームは,①販売パートナーはITベンダにエンドユーザを紹介等することとし,ソフトウェアの利用に関する契約はITベンダとエンドユーザとの間で直接締結される形態(直接使用許諾型)と,②販売パートナーとエンドユーザとの間でソフトウェアの利用に関する契約が締結される形態(再使用許諾型)の2つに大別することができます。両者の権利義務関係の概要を図示すると以下のとおりです。
<再使用許諾型> | <直接使用許諾型> |
![]() | ![]() |
3 再使用許諾型と直接使用許諾型の違い 取引スキーム
ITベンダと販売パートナーとの間で締結される契約の名称は,「販売店契約」や「代理店契約」,さらには両者を併せたものであるかのような「販売代理店契約」など様々ですが,大切なのはタイトルではなくその内容(中身)です。上記のとおり販売パートナーとの契約は再使用許諾型と直接使用許諾型とに大別できますが,両者には以下のような内容の差異があります。
法人のお客さま
取引信用保険とは?
契約について
- 売上高や債権残高○位~○位等、一定範囲のお取引さまを包括的に契約の対象とすることや特定のお取引さまだけを対象とするシングルリスクも検討が可能です。
- また、裁量与信限度額のように一定額以下のお取引さまについて、保険会社が審査することなく、無記名で限度額を提供するスキームもあります。
限度額について
- お取引きの状況により限度額が保険期間中に増減することがありますが、増額の際は、都度保険会社にて審査を行った上で増額の手続きを行うことになります。
- また、お取引さまの信用状況の悪化や経済の後退局面では、保険会社側からの限度額の減額を通知されることもあります。
- 売掛債権が保全されているという安心感があれば、守りだけでなく、攻めのビジネスを展開することが出来ます。
- 保険会社からの情報提供によって、貴社の与信管理体制の補完、強化、審査業務の軽減が可能です。お取引さまの信用状況について継続的なモニタリングが可能になるだけでなく、新規お取引さまに対する与信判断が容易となり、安心して新規取引を開始できます。 取引スキーム
- 突然のお取引さまの倒産などによる資金面の不安が、受け取る保険金によって解消される為、資金繰りの悪化を防げます。
取引信用保険の取扱実績が代理店トップクラスシェア (※損害保険ジャパン株式会社調べ)
である当社の強み
- お客さまの与信管理にフィットした保険の設計および保険会社との交渉力
- 保険期間中や支払遅延および貸倒発生時の対応力
- 融資や保証債務など特殊なニーズにも対応した実績
- 日本で取引信用保険を販売するすべての日系・外資系保険会社から見積の取得が可能
- 保証ファクタリング ※ も含めた幅広いご提案が可能
<過去ご相談事例>
商品代金以外の各種債権に関するリスクヘッジ
保証債務のリスクヘッジ
取引先が法的倒産していなくても保険対象とできるスキーム
その他下記のような特殊なニーズにつきましても是非ご相談下さい。
このページは「取引信用保険」の概要を説明したものです。
詳しい内容につきましては、「ご契約のしおり」「重要事項等説明書」などをご覧ください。
なお、ご不明な点は、当社(メールアドレス:[email protected]c.co.jp)または引受保険会社までお問い合わせください。
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